学年の様子は、それぞれの学校でいろいろな特色を見せていることと思います。先生方、お疲れ様です。特に、学年主任の先生は、学年をまとめるという立場で働かれています。学年主任の先生、ありがとうございます。
ここでは、学年主任の大まかな仕事内容を、私の実践を通してお話しできればと思います。
学年主任は学年コーディネーター。1年間の流れをコーディネートする、学年指揮官です。
今回は私がやってきた学年主任の仕事の中から、大きな柱である4つを簡単にまとめてみました。
(1)年間計画を作る。
4月に学校の年間計画を確認します。年間学年スケジュールを作り、1年分の学年会レジュメを作っておきます。年間計画は最も重要です。主任の仕事のほとんどは、この計画にかかっているといっても過言ではありません。日々進化する子どもたちを相手にするわけですから、いくらでもイレギュラーな仕事が降ってくる可能性があります。根幹をしっかり立てておいて、イレギュラーな仕事に備えましょう。
【長所】
◎無駄な学年会議を省き、ポイントを押さえた話し合いの場を計画できる。
◎全体を見通すことで、力の入れ具合や、仕事始めの時期を逆算できる。
◎学年の仕事は自分の学級と連動しているので、一石二鳥。
【短所】
△4月は生みの苦しみ。特に新しく異動したての主任業は、新しい学校を一から知ることになるため、リサーチに時間がかかります。
*ただし、この苦しみは、1年間を余裕をもって過ごす最大の秘訣になります。
(2)授業を先行して行う。
授業はできるだけ先に行いましょう。また、単元計画をできるだけ早く先生方に伝えてあげましょう。先生方は主任の方針を気にしています。学年の先生方の時間をできるだけ多く作って、仕事に余裕をもたせることを優先させましょう。
【長所】
◎先行して学習方針を伝えられるので、取り組みを学年でそろえやすい。
◎実践談を伝えることで、他の先生方の授業計画がしやすくなる。
◎進度のペースメーカーになることで、学年全体の学習進度が遅れないようにできる。
【短所】
△早くしすぎると、他クラスの先生のプレッシャーになる。先行はほどほどに。
*場合によっては、他の先生に先行してもらい、その先生の意識を育てたり、同じ時間に速度を合わせることで、プレッシャーをやわらげたりすることも大事。
(3)ほうれんそうと巡回で実態把握をする。
報告・連絡・相談の「ほうれんそう」がしやすい学年の空気感をつくっておきましょう。保護者対応などで連絡が一手遅れると、その後莫大な時間がとられる可能性が大きいです。また、責任の所在をどこまでも問われる厳しい現代の教育現場です。児童の問題に早期発見、早期対応するために、できるだけ情報をタイムリーで把握できる学年にしましょう。また、学年のクラスを巡回して教室の様子や学年全体の雰囲気を察知しておきましょう。
【長所】
◎すぐに対応できるため、初期の短時間で解決できることが多い。
◎学年全体で動いている雰囲気は、保護者の安心材料になる。
【短所】
△「ほうれんそう」は先生方に任せるだけではなく、積極的に主任から話を持ち掛ける必要があります。学年会だけではなく、ちょっとした時間にも先生方に一声を。基本は他の先生のクラスの良さをほめたり、先生をねぎらうこと。時には、困ったことがないかかを聞いたり、気になることについてズバッと突っ込んだりすることも重要な仕事です。
(4)行事で盛り上げる。
コロナの影響もあり、最近では大幅に削減された部分もある学校行事。しかし、学年を盛り上げるには、行事は欠かせません。この行事をどれだけ成功に導くかで、1年間の充実感が変わってきます。子どもたちが「この学年に所属できてよかった!」と思える行事の構成が学年をまとめるカギになります。
【長所】
◎子どもの千差万別な能力を輝かせやすい。
◎子どもの意外な能力を発見でき、ほめることができる。
◎先生の特技を生かせるときがある。
◎学年の規律、ルールやマナー、集団の雰囲気づくりなどの基本を一斉に仕込める。
◎日々の学校生活にちょっとした刺激と目標を持たせ、達成感や充実感を感じさせることができる。
◎保護者や他学年、地域の人等、子ども以外の人たちにも喜んでもらえる。
【短所】
△良いものにしようとすればするほど準備が大変になる。
*子ども全員が行事好きなわけではないことも忘れずに。だからこそ、児童の興味関心のリサーチを日々行い、1年の中で全員が1回でも良さを感じられるような場面設定を考えることが大切です。
以上が大きな柱である4つです。
先ほども触れましたが、これは数ある中の4つです。学年主任はちょっとした文書の作成等も、他の先生に比べて多く依頼されます。多くの仕事は先生方と分担しながらやっていくことになりますが、基本的には学年主任が全てを把握してなくてはいけないので、仕事内容を知っておく必要はあると思います。
学年主任は、比較的おいしい立ち位置です。自分の仕事が直接的に学級の仕事にも関わるため、方針さえはっきりしていれば余裕をもって運営することができます。
これはあくまで私の見解です。
学年主任がそろそろ回ってきそうな先生。また、学年主任の仕事がぼんやりしてわからないという先生に参考にしていただければ幸いです。